7月26日(金)、雑談。
今日は融資実行日...の前に松戸へ出張整備。
古いカンパのブレーキシューは圧入タイプなので、基本的には専用の工具が必要だ。
専用の工具がなくても出来る人は、よほど整備上級者か、あるいはすごい暇な人。
どちらにせよいったんカートリッジは取り外す必要があるから、トーインはつけ直さないといけない。
カンパのスケルトンブレーキはシマノに比べてキャリパーの剛性がないので、より大きくトーインをつけなくてはいけないし、ブレーキシューもカーボンタイプはアルミ用よりも沈み込みが深いので、そこも加えてトーインを調整しないといけない。
ロードバイクにおけるブレーキ性能を引き出す上ではトーインは非常に重要な部分になるので、プロに任せるのをお勧めする。
先週の木曜日は政策金融公庫との契約、今週の火曜日は千葉銀行との契約、そして今日は千葉銀行内で売主との融資実行。
千葉と柏松戸は物理的にはそれほど離れていないが、アクセスが悪くて渋滞が多く、片道1時間半ほどかかる。往復すれば1日がかりの作業になるし、筋肉はすごくダルくなる。
運転中の暇な時間は、ひたすらクルマのレストア動画を見ている。
特にクルマの整備工になりたいわけではないけど、クルマがどうやって動いているかとか、各部位の名称くらいはわかるから、ラジオがわりにロングライドでも聞いている。
そして認識するのは、ゴムとアブラの重要性。
ロードバイクのオーバーホールも基本的にはグラスや周辺のシールリングの交換がメイン作業なわけだけれども、目に見える部分じゃないからユーザーになかなか意識してもらえない。
そして自転車には車検制度が無いから、強制的に整備に奪われることもない。
鉄で出来てるクルマか、アルミとカーボンで出来てるチャリか、どちらが耐久力があるかは難しいところだけど、ゴムとアブラがトラブルの根底にあるのは同じ。
だからクルマの整備工の話を聞くのは面白い。
フリーダムが買った土地は売主が企業名義だったから、会社と会社のやりとりだった。だから私より20歳以上年配の人と相対する機会が多かった。
金融機関の支店長や次長、大企業の代表取締役には、特有の胆力がある。ガンダムで例えるならニュータイプ的なプレッシャーを感じるというか、「オレは修羅場くぐってきたぞオーラ」が滲み出てる。
単にお客さんとしてお金を借りたわけではないから、それに気圧されないだけでも大変だった。
私がお店を始めた時も似たような焦燥感があった。それを思い出したと言ってもいい。
私は直前までスポーツ界にいたから、周りの友達は社会人1年目だったり学生だったり、もっといえばプー太郎だったりした。
それが私の中での"23歳"だった。
23歳で始めたフリーダムは整備業だから、接客も整備もナメられたらいけない。
「こんな若造に大事な愛車を任せられるか」と思われてしまうのは避けられないし、そういった評価を覆さないといけなかった。
焦燥感や劣等感があるのは絶対的な経験に裏打ちされてないからだし、だからこそ私は普通の23歳でいてはいけないと考えていた。
さすがに10年もやっていればそれを感じることも無くなったが、今回の件で自分の若さを痛感した。
自分はあまりに若造で甘く、社会の厳しさをあまりに知らなかった。
世の中の33歳がどんなのかはわからないが、少なくとも今の自分では今回の件で渡り合える経験も自信も足りなかった。
昔、元山一證券の部長(女性)に、経営者は寝てる暇なんかないんだよ!って言われたことがある。40年前の日本社会で女性として金融機関の部長まで登り詰めた人であり、会話のスピードがとても速い人だった。
その発言の意図は仕事量が多い少ないということではなく、可能な限り外社会に触れて強いプレッシャーを持つ人と相対し、ニュータイプ的なオーラを纏って自分の会社を守れる胆力を備えろという意味だった。
10年前の会話の真意に気づいたのは30歳を過ぎてからだった。
とある会社の代表に「オレより裁判経験のある奴はそうはいないぞ」と言われた事もある。
言われた時はピンと来なかったが、今ならその発言の意図や価値がわかる。
それこそは私があの時から成長した証だろう。