12月24日(月)、和光ケミカル講習会。
今日は臨時的にお店を開けて、洗車の講習会。
和光ケミカルに来てもらって実演してもらう。フリーダムにおいて、和光ケミカルに来てもらっての洗車講習会をするのは2回目となる。
なぜ和光ケミカルに来てもらったかというと、1つの大きな理由として近隣の他の店の人にも来てもらいたかったから。
自分が買った店以外に行くというのは、心情的にかなり難しいと思う。このときフリーダムの店長が講習するよりも、和光ケミカルにやってもらった方が、いくばくか第三者が参加しやすいのではないかと考えた。
このブログは、ヒット数的にはフリーダムのお客さんよりもそれ以外の人たちが見てる数の方がはるかに多い。
ここでぜひみんなに覚えておいてほしいのが、こういった講習会において、全てのショップは和光ケミカルにお金を払っていないこと。
例えば著名な業界人を呼びよせて講演会をすれば派遣料が必要になるだろうが、こと和光ケミカルが全国的に行なっている講習会のおいては、私たちショップはいっさいお金を払っていないのだ。
自身でできることを依頼して報酬も払わず申し訳なく、だからこそお店は売上として貢献しなければいけないし、講習を受けた人たちにもぜひ和光ケミカルの製品を買ってほしいと思う。
和光ケミカルは性能が高い代わりに値段もかなり高い。ホームセンターなどで簡易的にそろえたほうが安く済むかもしれない。
でも世の中のほとんどの講習会ではお金がかかるだろう。中学生の学習塾ですら一コマ数千円かかるのだ。何かを教わる時に無料であること自体に疑問を感じるようでなければならない。
私がフリーダムを作った10年前は、水で洗車することなどキチガイの所業だと批判されたものだった。しかし今はおそらく、ロードバイクたるもの水で洗車しても大丈夫だという認識が十分広まったと思う。水洗車をしていることによる風評被害は無くなった。
一般ユーザーに水洗車を認識させてくれたのは間違いなく和光ケミカルだ。
和光ケミカルの自転車事業部が出来てから7年ほど経ち、その間ボランティアとも草の根運動ともいえる小さな活動の積み重ねのおかげなのだ。
講習会1回で生まれる売り上げ金額など和光ケミカルにとっては交通費にすらならない。特にフリーダムは水洗車が基本だから、他の店の洗車コストよりはるかに低く、和光ケミカルに落とす金額もかなり少ないはずだ。
フリーダムは何年も何10年も溶剤を購入し続けさせてもらってようやく、和光ケミカルが自転車界にもたらしてくれた賜物と、キチガイショップのレッテルを剥がしてくれたことに対する恩返しができるのだ。
和光ケミカルが行っている水無し洗車の基礎は、フリーダムと和光ケミカルのとある人物が作ったものなんだ、実は。
まだ和光ケミカルに自転車事業部が無い頃の話。
自転車業界は基本的には間接的に和光ケミカルの商品を買っていた頃、私はクルマ業界のバンセールスを招いて、ケミカルの知識を学ばせてもらっていた。
今はどうか知らないが、自転車の資格はいくつもあれど、ケミカルに関する資格は皆無だった。だから自転車屋がケミカルの知識を持つ機会そのものが無かったし、実際にケミカルの知識のある自転車屋も少なかったし、業界全体でバイクを水で洗ってはいけないという盲目的な認識があったのもこのせいだった。
だからこそ当時の私は、フリーダムが洗車やケミカルの知識に秀でれば、洗車において抜き出た存在になれると考えた。それはきっと正解だった。今でこそフリーダムの洗車技術は他店と変わらないが、当時のフリーダムは相対的に高い技術を持っていた。
その後、和光ケミカルが国道16号(千葉サイタマ神奈川をぐるっと環状する国道)の内側を初動の活動範囲として自転車事業部を立ち上げた時に、少しばかり協力することができた。
和光ケミカルは私よりケミカルの知識があるけど自転車業界や自転車屋の事情は知らない。私はケミカルの知識は無いけど自転車屋の環境やお客さんの洗車環境のことなら知っている。合わさればどちらにも精通することができるだろう。
みんなが自転車屋から薦められるフォーミングマルチクリーナーを私が作ったとは言わないが、アイデアのきっかけのひとつではあったかもしれない。合わせて使っているチェーンクリーナーだって、もともとはオートバイク用品から流用したものだ。
それが全てとは思っていないが。これらは和光ケミカルの自転車事業部が出来る前の、クルマ業界のバンセールスが千葉の小さなショップに薦めてくれた”とある人”が始まりだったんだ。
今はもうその人は和光ケミカルにはいないが、今でも名刺は柴田室長よりも前に置いてある。もし私がフリーダムの名声を上げられれば、きっと自転車界の恩人のひとりにしてあげられるはずだ。
講習会は全部で3回やってもらった。
1回目は和光ケミカルが全国のイベントでやっているような、”いつもの” やつ。2回目は一般の家庭でやるような環境をイメージして、スタンド無しでやってもらった。
無茶なお願いだったが、スタンド無しで洗車をすることがどれほど大変なことかイメージしてほしかった。
一般ユーザーたちの、洗車における最大の壁は、メンテナンススタンドを持っていないことだと思う。
メンテナンススタンドは、だいたい2~4万円する。その費用をメンテナンススタンドに、ただ洗車するためだけに捻出するのは、懐事情的にはばかられてしまうのは理解できる。お店からしても、10万も20万もするスポーツサイクルを買ってもらった直後に、メンテナンススタンド代としてさらに3万円捻出してくださいとは言いにくいのだ。
しかし、メンテナンススタンドを使わないで洗車しようとすると、洗車の難易度が桁違いに難しくなってしまう。
一般ユーザーたちは、洗車スキルが低いころからメンテナンススタンド無しでや洗車をやらなければいけない。さらに加えると、基本となる水を使った洗車が出来ないにもかかわらず、応用編である水を使わない洗車ができるようにならなければいけない環境にある。
本来ならメンテナンススタンドを使って、たっぷりの水を使って、溶剤になんの制約も無い状態で、洗車の基本をしっかり学ぶべきだろう。そのうえで自身の環境に合わせて、メンテナンススタンドを使わなかったり、水を使わないことで使うケミカルが制約されたりしながら、水を使わない方法を覚えるのが筋だ。
洗車とは楽で早くて簡単でなければ続かない。だからこそメンテナンススタンドが継続的な洗車のキーポイントになっていることに気づかないといけない。
もうひとつ覚えておいてほしいのが、洗車の完成度。
たとえば汚い状態から適当な溶剤を使ってウェスで拭くだけの洗車が0点、フリーダムで行っている水を使った「雑な洗車」が100点としたら、各種イベントで和光ケミカルが講習してくれた「丁寧な洗車」は50点から60点程度でしかないという事だ。
そしてこの講習を通じて感じてほしい事の最たるは、いつも店の軒先でやっている水をつかった洗車がいかに速くて楽で綺麗だったのかという事だ。
もてぎエンデューロなどで何千台もの自転車が集まった時、水洗車をしてないであろう99.9%のバイクがどれほど汚いことか。
それは99.9%、水洗車環境を提供できない店が悪い。そしてケミカル知識を得る機会を作らない資格組織が悪い。
残りの0.1%は、やらないで開き直っているユーザーが悪い。
水を使わない代わりにウェスで拭く。
毎週月曜日に洗車をしに来るフリーダムの常連さんのバイクを水を使わずに洗車した時、新品のウェスがこれだけ汚れた。
水が使えない代わりにウェスを使う。水を使わないことで使用できるケミカルにも制約が生まれる。
水を使わない代わりに金と時間を使うのだ。
道具にもケミカルにも多大なコストをかけて出来上がる水無し洗車の完成度は、水を使った場合のせいぜい50%程度でしかない。
他店批判とも取れる言い方となってしまって申し訳ないが、最終的な納品段階で水を使わないで仕上げたバイクは、 フリーダム基準では不合格となる。
それほどにまで、水を使わない洗車が仕上げ全体のハンデとなってしまうレベルの話であることを認識しておいて欲しい。
来春。
私が中国から帰ってきたら、今度は水を使った洗車の講習会をしようと思う。
和光ケミカルに講習してもらうか、私が講習するかは決めていないが、世の中のバイクを綺麗にする和光ケミカルの「草の根運動」に私もも協力したい。
なぜならフリーダムは100点の洗車を提供することが出来る、その他0.1%の店だからだ。