キャニオンがダメな理由。
少し前にホムペの方でキャニオンがダメな理由を聞かれたので、ブログのなかで返答しておこうと思う。
いずれ清書してホムペの方に転載するが、また文章が整っていないので、いったんブログに載せてしまおうと思う。
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ひとつ目の理由は、単純に持ち込みであること。
自転車業界は持ち込み不可の店が多い。
トヨタのクルマをホンダにもっていっても受け入れてくれないのと同様、他店のバイクを当店に持ってこられても困ります、というのが店側の主張だ。
私が学生の頃に通って複数の自転車屋もそういうスタンスでいた。
ユーザー側に立ってみると、他店でアンカー買おうと他店でアンカーを買おうと、同じアンカーじゃないかと思うだろう。その反論は理解できる。
ショップ側の言う、誰が組んだかもわからないバイクに責任など持てないという意見には半分ほど理解できる。なぜなら違う会社だから。
残された半分は、誰が組もうがプロが組んでさえいれば仕上がりに大差無いという個人的な考えをもってして、個人的にはユーザーの味方でいるつもりだ。
とはいえキャニオンにかかわらず、持ち込みを拒否した小売店があったところで、ユーザーから非難される筋合いはない。
店同士が違う会社である以上、他店購入を受け入れているのは受け入れている側の好意によるものであり、受け入れ拒否に対して責められるいわれはない。もしあるとすれば、メーカー自体が「どの店でも対応できます」とユーザーに呈している場合のみ。
ユーザーから見ると少し厳しい主張かもしれないが、持ち込み依頼を公にして受け入れているサイクルフリーダムが発言していることに多少の意義を見つけてほしい。
2つ目の理由は、海外通販であること。
キャニオンは基本的に通信販売でしか手に入らないから、キャニオンが欲しい人は通販を使ってキャニオンを入手するしかない。
好きなバイクを買うのが一番だ。私はそこを否定しているわけではない。
しかしキャニオンの、特に完成車に付属してくるパーツはどうだろうか。
キャニオンに付属してくる、例えばマビックやカンパニョーロなどは、国内で代理店方式で正式に展開しているメーカーだ。
いうまでもなくそれらのメーカーは、補修パーツの在庫管理やメディアに対する宣伝広告、小売店に対する技術講習会などのコストを負担している。
マビックは、歴代のホイールのスポークなどが即日翌日であっさり手に入る。小さいビニール袋に入った管理しにくい補修パーツつ1つひとつをバーコード管理し、ケータイ電話の直通一本で即日手配してくれる。
単価数百円の補修パーツをいくら売ったところで儲けなど出ない。携わっている人たちを雇える売上ではない。
インターネットのポータルサイトであれ、各雑誌媒体であれ、情報提供にお金を使って広告しているのは国内の企業であるということ。
ユーザーがどんなに「自分はグーグル先生にしかお世話になってない!」と豪語したところで、きちんとした情報を持っているのは代理店であり正規ショップ。
海外サイトからの情報しか利用していないと主張するユーザーは横柄だと思う。
小売店からすると、キャニオンに付属してきた並行輸入品を、国内の正式な販売ルートを使って修理するわけにはいかない。
ユーザーからは「ちょっとくらいいいじゃないか」と言われることもあるが、ちょっとじゃない。一人にやるなら全員にやらなきゃいけないし、一度やったら次もその次も永遠にやらないといけなくなる。
一人のユーザー自身からみればちょっとに見えるかもしれないが、全体から見ると大問題なのだ。それはケチという話ではない。
どうしてもキャニオンに乗りたくて、海外通販でキャニオンを買いたいと思うのは理解出来る。だからそれは好きに買えばいい。
しかしキャニオンは完成車も扱っている。
完成車に付いてきたキャニオン以外の国内で正規品販売されているパーツが、はたしてキャニオン完成車購入時についてきたのかキャニオンを買う以前から使用していたもの正規品なのかは、国内の販売側としては簡単には区別がつかない。
だからキャニオンは、キャニオンについているパーツを含めて全面的に整備を受けないことにした。
疑わしきは引き受けない。
そして3つ目の理由は、キャニオンの購入するユーザーが、並行輸入品を日本国内の正規取扱店で整備してもらうことを、実質的に見込んでいること。
これが最大の理由。
これはあくまで私個人の推測であり、当てはまらない人も沢山いるだろう。
しかし「喫煙者はポイ捨てする」に近い感覚で「キャニオンを買う人はその他のパーツも海外で購入し、しかし補修品は日本のショップで買う」ことを疑っている。
キャニオンを買う人は、国内正規品があるその他のパーツも海外通販で購入し、トラブルがあった場合のみ国内のアフターマーケットを頼る人種だと思っている。
例えばキャニオン完成車についてきたフレームのスポークが1本だけ折れたとする。
キャニオンから自転車を買った以上は、海外に送って整備をしてもらうのが筋。
国内正規ルートであれば電話一本、即日手配、500円と5分で済むような整備であっても、キャニオンで整備してもらうのが筋。
単価の高いフレーム本体やホイールなどと違い、それらの補修パーツ…例えばリアディレイラ―ハンガーやスポークなど…は得られる利益額に対して在庫管理コストが圧倒的に高い。割に合わないどころか赤字である。
そういった補修パーツの管理コストは、単価の高いフレームやホイールから出る利益で賄われている。
ユーザー目線で嫌な言い方をすれば、“純粋な価格”に上乗せされている。
特に最近のフレームはエアロ化が進んで複雑になり、汎用パーツがどんどん少なくなってきた。フレームのちょっとしたワイヤー受けの部分からインナーライナー、ボルト一本に至るまで専用品が多くなっていて、当然だが各代理店らの補修パーツの在庫管理コストは一昔前に比べて跳ね上がっている。
ユーザーはそれを国内定価がぼったくりだと批判して、海外通販の方が安いとして、海外通販で買うようになった。
確かに表面的な額面では圧倒的に海外通販の方が安い。正直に言ってサイクルフリーダムの仕入れ値より海外通販の方が安い事さえ珍しくないのだ。
海外通販の安さに惹かれて手を出す心情はよくわかる。
しかし。
だからと言って。
正規ルートで購入した人より安く買ってスポーツサイクルを楽しみ、1年後や2年後にプラスチックパーツやゴムパーツがダメになった時、国内正規ルートから補修パーツが手に入らなくて泣きつかれても困る。
ウィグルでホイール買ったら、ウィグルにスポーク直してもらうのが筋なのだ。
単価の大きいところだけ安く気持ちよく得した気分で買っておいて、めんどくさい、おいしくないところだけ国内正規ルートを使おうと思うような人に対して、正規店がまともに取り扱わなくたって批判される筋合いはない。
とかくキャニオンは安い。
国内の価格と対比するとホイールとコンポの価格で完成車が賄え、フレーム代そのものが無料に近い。国内正規販売からすると理解不能なくらいの価格設定だ。
キャニオンの設定単価では、国内正規品としての補修パーツの管理コストはまったく含まれない。キャニオンの価格で国内展開をしようとしたら、暗に整備は引き受けないと言っているようなものなのだ。
それを買うユーザーもまた、自転車本体は通販で買って安く済ませて、補修は国内のどこかのショップにやってもらおうという魂胆があると捉えられたとしても、何らおかしくないだろう。
最初に安く買ったのだから、トラブルがあればどれだけお金が掛かろうとも、どれほど時間がかかろうとも、バイクをドイツまで輸送しドイツから帰ってくるのを待つのが筋なのだ。
最近は、そういった海外通販のバイクの整備を引き受ける国内ショップが出てきた。海外通販に押され始めた自転車界における新しいビジネス形態だろう。
だから「海外通販組」はそちらでやると良い。
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まだ文章の冒頭と締めの分が出来上がっていないが、すでに3000字を超えているので、日記に載せるには長すぎる。添削して校正しないといけない。
注釈内容もたくさんあるように見えるが、ある程度、書きたいことは書いた。
小売店が話す内容としては、かなり感情的に突っ込んだ内容であり、商売としては良い話題ではない。公表するにはあまりに負のリスクが高い、きわどい内容だと思う。
ただ、出来れば、読み手は「フリーダムの店長がまたギャーギャー言ってるよ」で済ますのではなく、なぜ書かなくてもよい内容をわざわざ書いて曝したのか、というところをくみ取って貰えれば、書いた甲斐もあるというものだ。