9月30日(日)、雑談。
今から10年後までのロードバイクショップの話をすると、まず物販は激減するだろう。
もはや店舗を構えて家賃を払いながらモノを売る時代でないのは、スポーツサイクルに限ったことでない。
もっとも単価の高い完成車やフレームこそ不良在庫の苗床であり、やってマイナスなのであれば、やらないことこそプラスなのだ。
また、現在業界で進んでいる単一ブランドのコンセプトストア化、スペシャリスト化は一層進んでいくと思う。
現時点でのフリーダムのラインナップを見渡してみたとき、今年の最前線で活躍したジャイアント、ビアンキ、ラピエールを中心に、出来るだけたくさんのメーカーを抱えていたい。もちろんsワークスも欲しいが、それが時代的に許されなくなってどこかひとつを選ぶとしたら…やはりフリーダムではルックだろうか。
フリーダムのお客さんは実は7割がた他県から来ているのだが、ことルックに限ってみると9割以上が千葉県外である。これはルックにおけるひとつの需要だと捉えている。また、私個人が所有してきたルックが15台を数える一方で、他のメーカーの所有台数や経験値はルックにはるかに及ばないし、移転セールで真っ先に無くなったのもルックだった。
市場規模や販売台数からいえばルックのコンセプトストアは成り立ちにくいと思う反面、フリーダムがルックではないどこかを選択できるかと言えば、それも難しいだろう。
もともとやればやるだけ赤字のセクションなのだから、何を切り捨てようと減らすだけプラスである。
もう一つのショップの変化が、ロードバイクのスポーツジム化だと思う。
主にパワーメーターの普及に伴う講習会が形を変えて、物販に変わる新たな収入源になっていく。
フリーダムが始まった約10年前は、自転車屋本人は自転車に乗らないことが普通だった。ロードバイクをトラックバイクの理論で語っていることも多く、個人的にはそれが疑問であり、メカも選手も両方やろうとしたフリーダムはそこが世間にウケたんだろう。
しかしそれは良い面だけではなく、言い換えればどちらも中途半端でしかない。フリーダムは整備80点選手80点、平均で80点の店。
これを整備100点選手0点のメカニックと整備0点選手100点の元プロを抱えたショップから見たとき、フリーダムはなんとレベルの低い店だろうか。別にひとりで全部やる必要ないじゃないかと言われて、そう簡単には反論できない。
店の物販として、フレームのスペシャリスト化が進む一方で、ホイールその他はレベルの高いマルチストとならねばいけない。
ハンドルやタイヤなどのカスタムパーツはたっぷりと蓄えて、ボーラもキシリウムもジップもコリマもきっちり組めるようでないといけないだろう。
幅広いメーカーを並行して扱い、新旧グレードの情報を詰め込み、知識を忘れてはいけない。
パーツの取り扱い量の経験値も、個人のインプットには限界がある。その中で、儲からないセクションはスぺシャリスト、儲かる分野はマルチストになる。
そしてコンセプトストア化によってフレームから浮いたリソースは、すべてフィッティングやライディングに割かれていく。もはや物販で家賃が払える時代ではないのだから、情報がお金に変わらないといけないし、お金になるレベルの情報を安易に日記やブログで垂れ流せなくなる。
インターネットで収集できる情報に大した価値が無いとユーザーがはんだんしてくれるようになった時、再び実店舗に活路が見いだせる。
それまでは情報収集が間に合わなくなった店から無くなり、業界の絶滅を待つ。